部下が育つ上手な叱り方

「もし部下を叱らずに済むならどれだけ楽だろうか・・」上司の立場である方々なら、一度はこのように考えたことがあるのではないでしょうか。部下は褒めるだけではなく、時として叱らなければならない場合も生じます。ところが叱り方を間違えれば部下のやる気が大きく損なわれるだけでなく、その後のコミュニケーションもぎくしゃくしてしまうことすらあります。そこで今回は部下が育つ、上手な叱り方について考えてみることに致します。


①叱る「場面」に最大限配慮する

部下を叱る上で最も注意しなければならないことは叱る際の「場面」です。場面には「場所」もしくは「環境」、「タイミング」といった要素があります。部下にとって「叱られる」ということは不名誉なことです。

机を並べた同僚が多数いる中で、大声で叱られれば「叱られる」ことだけでなく、叱られた事実や内容を周囲に知られることが加わるため余計に自尊心も傷つきます。部下を叱る目的は部下を傷つけることではなく「育てる」ことにあるなら、部下ができるだけ傷つかないよう叱る場面に配慮することがとても大切です。もっとも、叱る内容によってはそれほど大袈裟なことではなく、ちょっとした注意レベルといった場合もあるでしょう。しかし「これぐらいのことでいちいち」とは考えず、ちょっとした場面であっても叱るなら「いちいち配慮すること」することが大切です。


②「好意的な評価」を前提とした上で叱る

次②紹介する二つの叱り方例を読み比べてみてください。

・君はいつもぼやっとしていて日頃から緊張感が足りないんだよ。だからこうしたつまらないミスを犯してしまうんだ。日頃からもっと緊張感をもって仕事に励むようにしなさい。

・今回は君らしくないミスなので少々驚いている。君の仕事ぶりはよくわかっているので心配していないが、念のため再度気を引き締めて仕事に取り組むよう心掛けなさい。

二つの例文を読んで後者の方が叱り方として良いことはお気づきになったと思いますが、大切なことはなぜ後者の方が良いかということです。前者と後者の大きな違いは部下に対する「前提」です。前者は「ぼやっとしている、緊張感が足りない」と、人格面に対する否定的評価が前提にあり、今回のミスの指摘だけに留まっていません。その点で後者は「君らしくない(君はそんなミスをしない)」「仕事ぶりはよくわかっている」と好意的な評価を前提としています。この違いが実はとても大きいのです。

前者の叱られ方をした部下は「自分は上司から良く思われていない」と受け止めますので、叱られる度に「どうせよく思われていないのだから」と無気力になったり、逆に反発を感じたりするようになってしまいます。一方後者なら叱られてはいても「上司は好意的に評価してくれている」という安心感も同時に得られますので、上司の期待に応えたいという意欲も高まります。その結果、叱られた点を改善しようと取り組むようになりますし、仮にまた叱られたとしても指摘された事項を真摯に改善しようとします。

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