
部下をやる気にさせる特効薬と言えば「褒める」ことに尽きると言って良いでしょう。しかしただ褒めれば良い訳ではないことは、改めて申し上げるまでもありません。褒め方が悪ければ逆にやる気を失ってしまったり、勘違いをして驕ってしまったりすることもあります。部下のやる気を引き出すには月並みですが「上手に褒める」ことが大切です。そこで今回は全国の上司の皆さんにとって常に古くて新しい重要テーマと言える、「部下の上手な褒め方」を紹介することに致します。
自分を評価基準にしていないかを自己点検すること
当たり前のことですが、部下を褒めるには褒める材料を見つけることが必要です。ところが、この当然と思えることを蔑ろにしている上司の方が少なくありません。何故なら、人間は無自覚なまま「自分」を基準にして他者を評価してしまう場合が多いからです。そうなってしまえば、皆さんより仕事の能力が劣る部下を褒める材料は見つけにくくなってしまいます。褒める材料が少なければ褒める機会も限られますし、機会が少なくなれば褒め方も上達しません。
また、この後述べますが、もれなく褒めようとする必要はありませんがまめに褒めること、即ちできるだけ褒める回数を増やすようにすることも「上手な褒め方」の一つです。部下の立場になっているつもりが、気付いたら自分基準で部下をみていたといったことはよくあることです。自分基準の評価で部下を褒めるべき機会を見失っていないか時々自己点検することが大切であり、そうした取り組みが結果的に上手な褒め方にもつながってきます。
褒める場面を見出してできるだけ褒めることも大切
部下の上手な褒め方として、1回ごとの褒め方は上手であったとしても一人の部下に対して褒める回数がかなり限られるようであれば「部下をやる気にさせる」ことは難しくなってしまいます。部下にしてみればちょっとしたことであっても上司に一言でよいから褒めて欲しいと思う場面は、決して少なくありません。
例えば手書き文章がきれいにかけたとか、来訪されたお客様が帰り際に忘れ物をしそうになったところを気付いてお客様に喜んで頂いただとか、決して仕事で華々しい成果をあげたとは言えないような場面であっても、否、仕事で華々しい成果ではないからこそ余計に褒めて欲しいと思える場面があるのです。
人間は「褒めてもらって当然」と思えるような場面で褒めてもらう場合と、「たいしたいことではないので褒めてもらえなくても仕方がない」との諦めの気持ちが芽生えるような場面で褒めてもらう場合であれば、当然後者の方が、喜びが大きくなります。裏返して言えば、仕事で華々しい成果をあげた場合だけ「褒める」ということは「上手な褒め方」とは言えないのです。下手な鉄砲式になんでもかんでも褒めれば良いと言う訳ではありませんが、ささやかな場面であってもできるだけ褒めるよう努めることも「上手な褒め方」の一つです。
評価している点を具体的に指摘する
「褒める」ことは「おだてる」ことではありません。「すばらしい」「よくやった」「とてもいいぞ」といった言葉が不要だと言う訳ではありませんが、それらの言葉だけでは部下をおだてているだけで真の意味で「褒める」ことにはなっていません。