質問型営業でクロージング力を高める4つの方法

近年、営業の世界では「質問型営業」の必要性を重視する企業が増えています。

これまでは、お客様にアポイントを取り付け、商品説明をする機会を頂ければ、どんなセールスマンでも、ある程度は物が売れる時代でしたが、現在は、消費不振の影響によって、お客様が商品を購入するハードルが上がると共に、売れない営業マンが続出してきたのです。

では、企業が求める質問型営業とは果たしてどのような営業スタイルなのでしょうか。

今回は質問型営業の方法やポイントを中心に、質問型営業の本質とは何か、具体的にご紹介していきます。

小手先のテクニックではない、質問型営業に対する本質的な理解を深めることによってお客様の心を掴み、今後の営業活動に活かして頂きたいと思います。



1. 質問型営業が主流になる2つの理由

そもそも、質問型営業が、なぜこれからの営業スタイルの主流になるのでしょうか。その理由は2点あります。以下をご覧ください。

質問型営業が主流になる2つの理由
(1)顧客との情報の非対称性が小さくなるから
(2)膨大な情報量の中から、ニーズに合致した商品を自分で選べないから

それぞれの理由を具体的に見ていきましょう。


1-1. 顧客との情報の非対称性が小さくなる

これまでは、営業マンとお客様の間には、情報量に大きなギャップがあったため、営業マンは、特定の分野における専門的なプロとして、情報提供や商品説明を行うことが一つの大きな強みにもありました。

そのため、営業マンから商品購入を強引に勧める「押し売り営業」をされたとしても、「営業のプロに勧められた商品だから、たぶん大丈夫だろう」と考え、契約書にサインするケースも少なくなかったのです。

また、上手く商品説明ができる「説明型」の営業スタイルも、お客様に「さすがプロ!」と思わせる安心感を与えることができ、受注をもらえることができたため、顧客との接触量さえ確保できれば、営業ノルマを達成することができたのです。

しかし、時代は変わって、情報化社会となった今、誰でも簡単にインターネットを介して、膨大な情報の中から、必要な情報を手にいれることができる時代となりました。

営業マンと差分のない情報量を入手できるようになった顧客に、営業マンの小手先のテクニックは通用しなくなったのです。


1-2. 膨大な情報量の中から、ニーズに合致した商品を自分で選べないから

営業マンと同等の情報量を手にいれることができるようになったことは上述しましたが、その結果、新たな問題が出てきたのです。

それは、自分がどの商品を選ぶべきなのか、顧客自身では正しい判断を下せないという問題です。

具体的には、今のライフスタイルや収入、今後の生活に照らし合わせて考えたとき、本当に必要なのはどの商品なのか、自分の真のニーズを理解できない、ニーズに合う商品を選べないという悩みです。

そこで営業マンの役割は「十分な情報量を持ち、商品を説明するだけで良かった時代」から「お客様のニーズを深堀し、本当に必要な商品を教える存在」にシフトしたのです。

その結果、お客様に質問を投げかけ、話を展開する「質問型営業」が、セールスマンにとって必須のスキルと言われる所以です。


2. 質問型営業を実践することで得るメリット

質問型営業のメリット

2-1. 質問型営業を実践すれば解消できる「営業マンの悩み」

では質問型営業を身につけることで、営業マンにはどのような悩みを解消できるのでしょうか、以下をご覧ください。

  • 営業の方法に自信が持てない
  • 毎月のノルマが達成できない
  • 顧客との会話は盛り上がるが、契約まで至らない
  • 商談ではクロージングまで至らない

上記の悩みを持つ営業マンは少なくないと思いますが、悩みの本質を紐解くと「お客様の深層心理を理解していない」ことに原因があるといえます。

営業マンが理解すべき「顧客の深層心理」とはつまり、「潜在的な欲求」を理解すること。

潜在的な欲求が理解できれば、お客様に何を提案すべきなのか、その見極めもスムーズに行えるようになるのです。

それを理解しないまま、自社の商品を手当たり次第に提案しても、「売り込みたいんだな」とは思われても、相手に納得してもらうことは不可能といえます。


2-2. 質問型営業のメリット

これまで、説明型営業や押し売りに近い営業スタイルを行っていた営業マンの皆さんが質問型営業に切り替えると、以下のメリットがあります。

  • お客様とのコミュニケーションの中で、ニーズを引き出すことができる
  • お客様が購入の必要性を認識できる
  • お客様が自然に情報を開示してくれる
  • ニーズのないお客様を追いかける必要がなくなる
  • 顧客満足度が上がる

もはや営業スタイルを変えないメリットはないでしょう。

お客様の本音の気持ちを可視化して会話をするだけで契約が獲得できるようになるのです。それでは具体的に質問型営業について見ていきましょう。


3. 質問型営業を実践する前に理解すべき2つのこと

質問型営業の2つの心得

3-1. 目的は、お客様の潜在的なニーズを顕在化させること

質問型営業とは何か、一言で言えば「質問中心の営業スタイル」と言えます。まずは「何のために質問するのか」ということへの理解が、質問型営業の本質を掴む上でより重要になります。

それは「お客様の潜在的な気持ちや意志、ニーズなどを顕在化させ、気付かせてあげるために質問する」ということです。なぜなら、お客様は本当は商品が必要なのに、その必要性に気付いていない場合がほとんどからです。

また、何となく必要性を感じていたとしても、機能の詳細や用途・色や形状などの条件を細部まで自信を持って決断できるケースは非常に少ないと言えます。

そのため質問型営業とは、こちらから商品を押し付けたり購入を迫るのではなく、まずお客様が気付いていない潜在的なニーズを、質問を通じて「お客様自身」に気付いて頂けるよう会話を展開することなのです。


3-2. お客様の気持ちに共感することでニーズを引き出す

次に、質問を通じてお客様の潜在的なニーズを引き出す上で大切なことをご説明します。

それは、質問する側がお客様に「共感」することです。それは質問される立場になれば容易にわかります。

例えば「この商品の中で何色がお好きですか」と質問され「赤」と答えた場合に、「ああそうですか」といった返答をされた場合と、「実は私も赤が一番合うと思っていました。この商品なら私も赤を選ぶと思います」といった返答された場合には、どちらが心地良いでしょうか?

つまり質問型営業は、機械的に質問を繰り出すだけの営業手法ではなく、お客様の返答に共感することを通じて、お客様が積極的に本心を語りやすくする状況を作り出すのが大切なのです。

質問を繰り返すうちに、お客様は徐々に自分の考えや本心に気付くことができ、営業マンから「お願い」されなくとも、自ら商品を購入するという決断に至るのです。従って質問型営業の本質を理解するためには、「質問すること」と同じくらい、実は「お客様への共感」も大事なのです。


4. 質問型営業の4つの手法

質問型営業の2つの手法

4-1. 商談で最初に行うのは質問で相手の状況を把握する

商談の場面で、着座したのちに、すぐ商品説明を始めてしまう営業マンは少なくありません。

いきなり商品を勧められたお客様は、きっと心の中で「この営業マンは、私のために提案してくれるのではなく、自分のノルマを達成するために商品を提案しているんだな」と思っていることでしょう。

また、お客様が本当に求めているモノを理解していない中で、商品の説明をしても、相手が納得するはずがありません。

商談では、最初に質問を繰り返し行い、相手のニーズの全体像を把握することを努めましょう。その際、いきなり質問を始めると、お客様は尋問をされている気分になり、不信感を持ってしまいます。

質問する前に「先にお客様の状況を理解したいので、いくつかご質問させて頂いても宜しいでしょうか?」と断りを入れてから、話しましょう。

質問する内容は、商品の特性によってさまざまですが、先に理解しておけば、その後の商談がスムーズに進むような答えを拾うことが大切です。聞き出すべき質問の回答の例を以下に挙げておきますね。

  • 商品・サービスに興味を持った背景
  • 顧客の属性・現状
  • 今、顧客が不足していると感じていること
  • 購入予算

これらの項目を事前にヒアリングできていれば、顧客情報はある程度把握することができたと言えるでしょう。

では、どのように質問すべきでしょうか。次をご覧ください。


4-2. オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

まず最初にご紹介するのは、質問型営業の基礎となる、代表的な質問手法です。

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの意味や使い方について解説していきますね。

4-2-1. オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは、回答の範囲を制限しない質問の仕方のことをいいます。例を見ていきましょう。

「お休みの日は、どのようにお過ごしですか?」
「趣味はなんですか?」
「働く目的はなんですか?」

オープンクエスチョンを使用するメリットは以下の2点です。

オープンクエスチョンを投げかける2つのメリット
(1)顧客から幅広く答えを引き出すことができる
(2)自分では考えなかったことに考えるキッカケを与えることができる

質問に回答する相手が、興味を持っている話題を深く掘り下げたり、顧客自身が考えて答えることによって、自身でも気づいていなかった潜在的な欲求を開示するキッカケにもなるため、オープンクエスチョンは効果的な話法です。


4-2-2. クローズドクエスチョン

クローズドクエスチョンとは、相手が「はい」か「いいえ」で答えたり、「A」か「B」の択一で答えられるような質問方法です。質問例は以下の通りです。

「価格とサービスの質、どちらを重視されますか?」
「過去に類似した商品を購入したことはありますか?」

クローズドクエスチョンは、顧客の意志や意向を素早く得ることができるため、ニーズの有無を明確に線引きすることができるでしょう。


4-2-3. オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの効果的な使い方

続いては、2つの質問手法の効果的な使い方について解説していきます。

その方法は、クローズドクエスチョンを数回伝えた後に、オープンクエスチョンを投げかけるというやり方です。相手は違和感なくありのままの状況を話してくれます。以下をご覧ください。

営業:経営されている中で、課題を感じていますか?(クローズドクエスチョン)
顧客:感じているよ。
営業:そのなかでも、売上増加とコスト削減ではどちらに課題感を持っていますか?(クローズドクエスチョン)
顧客:コスト削減かな。
営業:コスト削減の中で特に気になる項目はありますか?(オープンクエスチョン)
顧客:そうだなあ。人件費かな。

上記では「クローズドクエスチョン→クローズドクエスチョン→オープンクエスチョン」の順で質問することによって、相手から聞きたい情報を引き出しています。

コミュニケーションの基本であり、効果的な質問方法なので、練習してモノにしてくださいね。


4-3. 質問型営業は、質問で誘導する

質問型営業は、質問を通じてお客様の話を聞くだけの営業ではありません。質問を通じて自然に誘導することによって、知りたい情報を得ることが目的です。これから2つの事例をご紹介していきたいと思います。

4-3-1. 予算感を聞き出す方法

まずは、自動車を販売しているセールスマンが、お客様の予算感を把握したいときのやりとりをご覧ください。

営業:今ご利用のお車は6名まで乗車できますが、普段何名で乗ることが多いですか?
顧客:普段は4人くらいだね
営業:4名様ですね、それはご家族の御人数でお間違いないでしょうか?
顧客:そうだよ
営業:ということは、今回はファミリーカーをご検討されているのでしょうか?
顧客:そうだね。ちょっと大きめの車がいいね
営業:大きめといいますと、セダンやSUVのクラスでしょうか?
顧客:そう。アウトドアに出かけることも多いしね
営業:なるほど、アウトドアならSUVが人気ですね
顧客:私もSUVが良いと思っていたんだよ
営業:アウトドアにはバッチリですね!ちなみに新車と中古車、ご希望はありますか?
顧客:そうだなあ、安いに越したことはないけど、新車を考えているよ

質問を中心としたやりとりから「SUV」と「新車」のキーワードがお客様から出てきました。

この次に質問する言葉は「これ以上かかるなら検討外だという価格はどれくらいか、イメージは持っていますか?」と質問すれば、お客様の購入希望額の上限を理解できます。

聞きたいことをストレートに質問してしまうと、相手は拒絶反応を示してしまいますが、自然な流れで繰り返し質問し、聞きたい項目までジリジリ詰めていくことによって、上手く相手の情報を理解することができるのです。

これは予算に限らず、購入するかどうか、相手の温度感を理解することにも使うことができるため、行き当たりばったりにならないよう、質問で誘導する流れを構築することを意識しましょう。


4-3-2. 質問の流れを誘導する方法

相手から聞き出したい項目に向かって誘導質問をする以外にも、質問型営業を効果的に使う方法があります。

それは、お客様が商品とは関係のない身の上話を始めた場合、質問を通じて話を元の方向に戻すという方法です。

話好きのお客様の場合、会話が脱線してしまうこともしばしばあります。お客様も悪気なく話していることが分かっているため、なかなか話を元のテーマに戻すキッカケがなくて困ってしまうことも。

例えば、子供向けの健康食品を販売している商談中に、息子さんの学校の成績が話題の中心になったとします。その場合、共感しながら、ある程度耳を傾けた上で「学校の成績は本当に親として一番心配の種ですよね。その成績を上げるには、やっぱり健康維持や体作りも大切になりますが、何かお子さんの体作りに気を遣って取り組まれていることはありますか?」といった質問によって軌道修正することが肝要となります。

ポイントはあくまで「共感」が前提であることと、お客様の話題を無視しての誘導を行ってはならないということです。

そのためには、お客様が話している内容と商品の接点や関連性を考え、その関連性を軸にして商品ニーズへ関わる質問へと切り換えることが求められると言えます。


4-4. テストクロージングで購入の意思を確かめる

テストクロージングとは、お客様が購入する意思を持っているか、確認するための心理学を用いたテクニックです。

「もし購入するとしたら、どのような条件を優先しますか?」

上記の質問をしたとき、お客様から具体的に条件を聞き出せるケースと、曖昧な回答が返ってくるケースがあります。

お客様から「優先する条件は見積もり価格だ」と言われたら、あとは金額次第で商品を購入してくれることが分かります。ですが「まだ分からない」などの答えの場合、まだ購入する意思が固まっていない情報収集の段階であることを理解できます。

質問型営業では、お客様の潜在的なニーズを知るとともに、会話の途中でテストクロージングを挟み、提案内容をお客様自身が納得した上で進めることができているか、確認する上でも有効な手段となります。


5. 営業力とは質問力のこと

営業力とは質問力のこと

質問型営業は、そのネーミングから「質問する方法や内容」ばかりに関心が払われがちですが、ご紹介してきた潜在ニーズの顕在化や顧客への共感を念頭に置いて、質問する目的を明確にし、また何に留意して質問するのかを押さえて会話をすることが大切です。

質問の具体例だけを頭に記憶させ機械的に質問を浴びせるだけでは、質問型営業の効果を得ることは困難です。本質的な理解を目指すことが、質問型営業を自分達の営業スタイルとして定着させ、顧客満足と売上の最大化のために大切であることをしっかりと認識しておいて欲しいと思います。

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