「聞く」の正しい敬語の使い方【尊敬語・謙譲語・丁寧語】

「聞く」の正しい敬語の使い方【尊敬語・謙譲語・丁寧語】

敬語には、目上の人を立てるための「尊敬語」、丁寧で上品な言葉で表現する「丁寧語」、自分を低くすることで相対的に相手を持ち上げる「謙譲語」の3種類があります。

最近は謙譲表現として「○○させていただく」が万能的に使われていますが、便利な反面、これを乱発すると慇懃無礼さや語彙の乏しさが露呈してしまいます。普通の動詞に「○○させていだたく」をつけるだけでなく、敬語としての適切な言葉を身に着けることは、社会人としてとても大切なことです。

今回取り上げて紹介するのは、とても身近な動詞「聞く」という言葉の敬語表現です。人間の本能的な動作で、日常で使うことの多い動詞ですから、これを機会にしっかり身に付けましょう。

まずは「聞く」の意味を理解しよう

言い方は同じ「聞く」ですが、細かい意味合いとしては4つのパターンがあります。

  1. 聴覚で音(声)をとらえる「聞く」
    台風でガタガタと戸が揺れる物音を聞いた
    カエルの声が聞こえてくるよ
  2. 1の「聞く」という聴覚を使った行為に加えて、その中身に注意深く耳を傾ける「聴く」という意味
    講演会を聞きに行く
    市民の意見を聞く
  3. 聞いた結果を反映するところまでを含めての「聞く」
    教師の教えをよく聞くように
    こちらの言い分も聞いてほしい
  4. 尋ねるという意味。「訊く」という書き方をすることもあるが、常用漢字ではないので、新聞などでは「きく」と書かれることもある。
    事故の詳細を本人に聞く
    駅までの道を聞く

このように、言葉は同じ「聞く」でも、意味合いが微妙に違ってきて、それによって相当する敬語も使い分ける必要があります。ですので、聞くに対する敬語を使うときは、単に「聞く」という言葉を機械的に敬語化するのではなく、意味合いを考えて敬語を使い分けましょう。では、いよいよ具体的な敬語表現を見てみましょう。

「聞く」の尊敬語

尊敬語は、相手を敬って使う言葉のことです。一般的に「聞く」のような動詞の場合は「れる」「られる」を用いると尊敬語の表現になります。そのため、「聞く」の場合は「聞かれる」です。

その一方で、「れる・られる」には、「今日街を歩いていたら外国人に道を聞かれた」などの受け身としての用法もあります。自分が主語のときの「聞かれる」は受身の表現、相手が主語の「聞かれる」は尊敬表現です。この使い分けは、日本語を母語としている人であれば、自然に身についているところでしょう。

  • 尊敬語の例:クラシック音楽を聞かれることはありますか?

また「お~になる」、「お~になられる」という尊敬語表現もあります。

  • 尊敬語の例:クラッシック音楽をお聞きになることはありますか?
  • 尊敬語の例:クラシック音楽をお聞きになられることはあるますか?

「聞く」には、「言う」に対する「おっしゃる」、「食べる」に対する「召し上がる」のような、尊敬語になると言葉自体が変わる表現はありませんが、敢えて挙げるとすれば「お耳に入る」、「お耳に入れる」がそれに相当します。この場合の「聞く」は、注意深く耳を傾けることに対する尊敬語です。

  • 尊敬語の例:すでにお耳に入っているかとは思いますが。
  • 尊敬語の例:お耳に入れたいことがありまして。

「聞く」の謙譲語

上の尊敬語と似ていますが、「お聞きになる」ではなく「お聞きする」だと謙譲語になります。

  • 謙譲語の例:ご意見をお聞きすることができて、大変参考になりました。

「聞かせていただく」も謙譲表現です。これは注意深く聞く、あるいは聞いた結果を反映する場合に使います。「○○させていただく」という謙譲語は、乱発される傾向がありますが、「聞かせていただく」は違和感のない言い回しです。

  • 謙譲語の例:ご意見を聞かせていただいて、大変参考になりました。

ただし、「聞かせていただく」はシチュエーションによっては、相手に対する敵意を表す場合に使われることもあります。小さい子が口喧嘩をするときに何故か丁寧語をつかうのとニュアンスが似ていますね。

  • 謙譲語の例:私に非があるのなら聞かせていただきたいものです。
  • 謙譲語の例:理由を聞かせていただきます。

また、謙譲語特有の語彙に「伺う」という言葉があります。これは、聴覚としての聞くではなく、質問する、尋ねるという意味合いです。

  • 謙譲語の例:本日は、皆様の忌憚ないご意見をお伺いしたく、よろしくお願いいたします。
  • 謙譲語の例:ご用件をお伺いしてよろしいでしょうか。

注意深く耳を傾ける「聞く」に対する謙譲語としては、「拝聴する」という言葉もあります。話し言葉ではほとんど使われず、どちらかというと書き言葉に使用します。字面からも謙譲のニュアンスが伝わり、短い文字で表現できるので、メールや手紙などで使うのに適した表現です。

  • 謙譲語の例:先生の講演を拝聴し、大変勉強になりました。

「聞く」の丁寧語

「聞く」の丁寧語は「聞きます」です。上の謙譲語の項で挙げた「お聞きする」は、謙譲語であるとともに丁寧語でもあります。お聞き「する」ではなく、「お聞きします」「お聞きいたします」だと丁寧さが増します。

「聞く」の敬語表現について、例を挙げてご紹介しましたが、それぞれのニュアンスは伝わりましたか?TPOに応じた正しい敬語をスマートに使いこなして、デキる人になりましょう。

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