「どういたしまして」はマナー違反?「ありがとう」への正しい敬語とは

「どういたしまして」はマナー違反?「ありがとう」への正しい敬語とは

人と人とのコミュニケーションに欠かせない「ありがとう」というお礼の言葉。子どもの頃に、家庭や学校で「人から何かをしてもらったら、必ずありがとうと言いましょう」と躾を受けた人も多いのではないでしょうか。そして、相手から「ありがとう」と感謝の言葉を言われたとき、「どういたしまして」と謙虚な気持ちを表すものだと教わった人も多いでしょう。

しかし、社会に出ると、ビジネスの場での「どういたしまして」はNGだと考える人も一定数います。あなたはどう思いますか?そして「どういたしまして」は、本当にビジネスシーンでは使うべきでない言葉なのでしょうか。

ここでは「どういたしまして」の敬語マナーについて解説します。

「どういたしまして」は上から目線で偉そうなイメージ

「どういたしまして」がビジネスシーンにはNGだと考える原因の一つに、「目上の人が目下の人に使うもの」というイメージがついていることが挙げられます。

表面的な言葉の意味は、相手に対して「大それたことはしていません、何も大変なことはしていませんよ」ですが、「どういたしまして」の言葉が本当に伝えたいことは、実はそこではありません。

「ありがとう」と感謝し、恐縮している相手に対して「そんなに気を使わなくて良いですよ」という気持ちを「謙遜」という形で表現しているのです。そのため、特に偉そうとか、上から目線とか、目上の人が目下に対して使う言葉とは言い切れないということになります。

ただし、イメージ的に、上から下への言葉という感覚がついてしまっているのも事実です。人にプレゼントをするときに「つまらないものですが」というと、「つまらないものを人に贈るんかいっ」とツッコミを入れるのと似ていなくもありませんが。

しかし、目上の人に用いることが好ましくないイメージがある以上、言葉の本来の意味はさておき、ビジネスシーンでは上司や先輩、取引先などから「ありがとう」と言われた場合、「どういたしまして」は使わない方が無難ということになります。

これは相応しいか相応しくないかはともかく、相手が「どういたしまして」は上から目線だと思っている可能性があるから使わないという位置づけです。

同じ理由から、目上の人に対してだけでなく、後輩や部下からお礼を言われた時も、使わない方が無難だと言えます。言葉が持つ本来の意味より、世間一般についてしまったイメージを優先して、敢えて危険を冒すべきではないといったところでしょうか。

ビジネスパーソンが用いるべき「どういたしまして」の別の言い回し

では、ビジネスシーンでは「ありがとう」とお礼を言われたときに、どのような言葉を返すべきでしょうか。

まずは、謙遜でなく、お礼を言われて嬉しい気持ちを表す言葉を紹介します。返答するときは、人から褒められたときに、「いいえ、そんなことはありません」と返事するのと、「お褒め頂いて嬉しく思います」と返す方法の二つがあります。前者は謙遜を表現する方法、後者は素直に謝意を受け入れる返答の仕方です。それぞれについて解説します。

(1)「ありがとう」に対して謙遜する表現

目上の相手にお礼を言われて恐縮していることを表すには以下の言葉を用います。

  • 恐れ入ります
  • 恐縮です

短い言葉ですが、会話のやり取りの中でサラリと使える言葉です。また、「お礼のお言葉なんてとんでもない」という言葉を表す「とんでもございません」もあります。※注意点あり。

これらは「ありがとう」と言われた場合に限りませんが、人から過分に評価されたり、褒められたり、感謝されたりしたときに返す言葉の一つです。

(2)「ありがとう」に対して素直に謝意を受け入れる返答の仕方

  • お役に立てて、嬉しく思います
  • お役に立てて、何よりです
  • 多少なりともお力になれたようで、光栄です。

また「自分も得るところがあったので、そんなに気を使わないでくださいと」相手の気持ちの負担を軽くする表現を用いたいときは以下の言い回しを使います。

  • こちらこそ勉強させていただきました
  • 私にとっても良い経験になりました
  • こちらこそ有難う御座いました

前向きで、相手への厚意を表せる言い回しは以下の言葉です。

  • またお手伝いできることがありましたら、お声がけください

おまけ:「とんでもございません」は間違っているのか

ここでは「とんでもない」を使う場面ではなく、言葉自体について見てみます。よく使われる「とんでもない」の言い方を次に挙げてみます。あなたは日常どれを使っていますか?

  • とんでもない
  • とんでもないです
  • とんでもありません
  • とんでもございません
  • とんでもないことです
  • とんでもないことでございます

この中でよく日本語として間違っていると指摘されるのは「とんでもありません」、「とんでもございません」です。「とんでもない」は「とんでも」を「ない」で否定するのをセットにした言葉です。「とんでもありません」「とんでもございません」はこの「ない」の部分を敬語にしたものですから、敬語化する部分が間違っているのですね。そのため、日本語としては正しくありません。

ただし、これらの言葉を用いるビジネスマンが非常に多いことから、現在は「とんでもありません」「とんでもございません」も許容される使い方とされているようです。

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